手技療法の可能性と方向性|基本技に魂を入れる【未来のゴッドハンド達へ】

人の身体に触れることを生業にする人へ。
この記事では、2020年に書いた「未来のゴッドハンド達へ」から、手技療法の可能性と、施術の方向性について書いた6本をまとめ直しました。

伝えたいことは一つです。ボディワークの可能性を、低く見積もらなくていい。

外に出て、他のスタイルに触れる

Junestylestudio 10周年祭でのタイマッサージイベント

他府県のマッサージイベントで施術をすることは、楽しいだけでなく、大きな成長の機会になります。
全国や世界をステージにしている人、普段見る機会のない施術スタイルの人。いろいろな流派やスタイルを一度にたくさん見られて、見ているだけでも楽しいものです。

特にぼくが驚いたのは「ミタテ」です。
主訴を聴くのではなく、違った要素から把握して最短のアプローチを組み立てる、必須のスキル。イベントのような短時間の施術では、なおさら大事になります。そして、このミタテが人によってまったく違う。これは今でも大きな糧になっています。

普段の施術で身体を痛めることが多い人は、まず師匠に確認してもらう。それでもうまくいかないときは、「自分の体格に近い人のやり方を参考にする」のも大事です。

イベントで出会った、研修中だったスタッフさんの施術は「抜群の安定感」としか言えないものでした。迷いなく、緊張は感じても、真の強さは揺るがない。
名前は世に出ていなくても、素晴らしい人は当然いる。一つの頂を目の前で観ることができて、本当に嬉しかった。

術理、原理原則、真理、受容、許し。それをタイマッサージで現すなら、一つの正解が目の前で進行していて涙が出る。あぁ、美しい。

セミナーでも説法でもない、どんな言い訳も効かない「糞リアリズム」の環境で、ベテランや他流派が慣れない環境でどう力を活かすのか。それを観るだけで、ぼくは奮えます。
自分の施術に自信が付いたときほど、外に出た方が良いと思います。
そしてイベントのあとは、ぼくは必ず「基礎にもどるぞーっ!」となります。

基本技に魂を入れる

熱田神宮の空を飛べる鶏

写真は「空を飛べる鶏」。熱田神宮の鶏は、天敵から身を守るために常識を覆し続けています。

坐骨神経痛で、痺れを通り越して痛みに変わり、眠ることもできなかったとき。タイで半年アシスタントをしていた、技術的には申し分ない生徒さんに施術をしてもらいました。
いろいろな療法を試してもらっても、一向に緩和しない。そこで、ぼくの中では腰痛アプローチの必須の、基本すぎてセミナーにも載せない内容を、丁寧にやってもらいました。

四指でTPを見つけて! ラインがずれてる! そこから骨の方向へ! 指一本上に! 掌の形ちがうだろ! 今抜いて、次のポイント! 今緩んだのわかるか? 何でクールダウンが雑になるの!

あまりの痛みに、苛立ちのこもった声で伝え続けた20分

その夜は、2週間ぶりにぐっすり眠れました。
おそらく、タイセラピストならほとんどの人が知っている技です。ただ、使い方をわかっている人が少ない。技術はあっても、わかっていない。

1500万かけて學んだものが全部入ってるじゃねぇかっ! ふざけんなっ!

友人の接骨医の言葉

全てのテクニックは、あの苛立ちの言葉の中に入っています。素晴らしい先生は、それを柔らかい言葉で伝えてくれている。
教わった技が悪くて再現できないんじゃない。技の肝を聴き逃しているんです。

基本技の形ではなく、基本技に魂を入れること。これを身に付けるには、浮気をしちゃダメです。同じ方向性でも、肝は違う。やり方も違う。揚げると蒸すくらい違う。
「いままで何処に行っても取れなかった痛みが……」この台詞を聴けないセラピストは、そこが抜けています。

「その場で痛みを取り去る」よりは、「氣が付いたら痛みが無くなっている」を、ぼくは普段の施術でしています。それも、お客様が求めればするだけです。治療じゃない、症状緩和と症状改善は、リラクセーションで事足ります。

自分の不調を、自分で消す

友人の接骨医が足を挫いたとき、「急性の捻挫を理解して手技で治せるチャンス😆」とウキウキしていたことを思い出します。
自分の身体の不調を自分で消せないなら、お客様にもできるわけがない。

坐骨神経痛は症状なので、いくつかのタイプがあり、合わないと逆に悪化してしまいます。今回は痛みの強い複合型で、それまでのぼくなら複数のアプローチを長期にわたって行うしかなかった。
それが、空手家なら知っている、ある動きで1分足らずで痛みが消えました。その動きの本来の意味を、10年ぶりに思い出したのです。永遠にも感じる1分でした。
(そのままやると治療行為になってしまうので、根本改善の手技として改変する工夫があります。)

自分の身体の不調を自分で消す。その原因も自分で消す。それができて工夫ができれば、他者へのアプローチができる。この業界の人間が常々言われることです。それをやっているか、やっていないか。

理論だけでもなく、感覚だけでもなく、両方を自身の身体で体感したとき、確信に変わります。
見たことがある、知っている、教わっている。それだけでは絵にかいた餅。靴紐を結び始めた段階で、スタートラインにも立っていません。
実践し、体感し、我が身を通して血肉にしても、まだなお程遠い。走り出したところくらいです。

目の前で、可能性を受け取ってもらう

経絡のエネルギーを、感じながら施術していますか?
セミナーやワークショップ、練習会は、目の前で可能性を受け取ってもらうことを目的にしています。たった一度で受け取れる人もいます。「手技療法でこんなことまで出来るんだ」という可能性を渡す場所です。

まさか自分がセンエネルギーを感じ取ることができるなんて、ありえないと思ってましたが…夢が実現しました🤩 滑液の どぅるん の感覚もこの手で!
それで、今日最後に施術したお客様。膝下の内2ラインをセン押ししたら、あのビリビリ⚡を感じたんです!! 昨日の今日でお客様のセン感じ取れるんですか??!!

東京練習会の参加者さんの感想

根本に届く施術へ

南部鉄器

ZOËには、お医者様や治療院で良くならなかったお客様がよくみえます。多くが自律神経のバランス不全で、外傷系なら内臓を含めた全般にまで歪みが広がっている方や、心因性と思われる方もいます。

ZOËでは、お客様とぼくは対等の立場で施術を行います。世界をまたにかけるスーパースターだろうが、その日暮らしだろうが関係ありません。
大切にしているのは「補う」こと。思考パターンや脳の認識を適正化する。そのためのツールが技術です。

たとえば、後斜角筋から派生する筋の硬さを訴えるお客様。それなりのボディワーカーなら、後斜角筋のリリースや関連する経絡、アナトミートレインを緩めて終わり。これだけでも中々のものです。
でも、足りない。薄い。目線が違う。ただの対処療法です。3日もすれば元の木阿弥。根本に届かず、表面をなぜただけです。
では、どこにアプローチしていくのか。どこを補い、感じるのか。それを伝えるのがセミナーです。

写真は南部鉄器。日本人の何%が鉄分不足で、不足するとどんな症状を引き起こすのでしょう?

※ZOËでは、診断など医療・医療類似行為は行っていません。


この記事のもとになった連載(2020年)

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